歯周病(歯槽膿漏)とは?
歯の周りにある組織がプラーク(歯垢)などの細菌により炎症が起こり、歯を支えている骨を溶かしていく病気です。
歯周ポケットとは
歯周ポケットとは歯と歯ぐきの間にできる溝を言います。歯と歯ぐきはぴったりと繋がっているように見えますが、実はわずかな隙間があるのです。汚れや細菌がその隙間に溜まり、歯周病菌が内部で炎症を起こすと、歯と歯ぐきの密着が次第に剥がれてしまいます。
深い溝になるとお口の中の汚れがさらに溜まりやすくなります。汚れが入り込むことから“ポケット”と呼ばれています。
歯周病の症状
健康な状態
- ・骨がしっかりある=歯の支えがしっかりある
- ・歯ぐきがひきしまっている
- ・出血しない
歯周病が進んだ状態
- ・骨が溶けてあまり残っていない=骨の支えがない
- ・歯がぐらぐらする、歯が浮いた感じがする
- ・歯ぐきがブヨブヨしている
- ・出血する
- ・歯周病特有の臭いがする
- ・歯周ポケットが形成される
歯周病の原因
歯周病を進行させる主な原因は歯石や磨き残し、バイオフィルム(プラーク)です。個人差はありますが、歯を磨かない人ほど歯周病になるリスクが高くなります。歯についた汚れが原因で、その菌が歯を支える骨を溶かしてしまうのです。一度減ってしまった骨は、元には戻らず、進行を止めなければどんどん減っていってしまうのです。
その結果、最悪な状態として、歯が抜けてしまうこともあるのです。
進行を止める方法として一番大切なことは、歯周ポケットの中の汚れを取り除き、なおかつ汚れがない状態をキープすることです。
この両者が確立されて初めて、歯周病の進行をストップさせることができるのです。
歯周病の検査と歯周病治療のながれ
- まず歯周ポケットが何㎜あるのかプローブという器具を用いて測ります。
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20~25g程度の弱い力でプローブを挿入するので健康な歯茎では痛みはほとんど感じないでしょう。しかし歯周病が進み歯肉に炎症があると、チクチクと痛みを感じることがあります。また、出血や排膿も歯周病の進行を知るための重要な情報になります。
健康な歯ぐきは1~2㎜、中程度の歯肉炎があると3~5㎜、歯周病が進行した場合は6㎜以上になることがあります。 - 歯の動揺度を測ります。
- 検査の結果をもとに、歯周病治療(SRP:スケーリング・ルートプレーニング)を始めます。
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まず、歯肉の上の歯石を超音波スケーラーなどの専用の器具によって除去します。(スケーリング)
- 一週間ほどあけて、もう一度歯周検査を行います。
- 炎症の治まっていない深いポケットには、歯周ポケット専用の器具を用いてさらにお掃除(ルートプレーニング)を行います。
- 抗生物質の軟膏(テトラサイクリンプレステロン)をポケットに注入し、
炎症を抑えさえる手助けをします。 - またこのお薬にはポケット内の腐敗臭を抑える働きもあります。
- SRP後、2週間あけてさらに歯周検査を行います。
- 症状によって3カ月、半年の定期検診(リコール)をすることにより、歯周病が進行しないようしっかりと管理を行います。
- 定期健診・メンテナンス
- メンテナンス期に最適お口のエステコース
歯周病治療において大切なこと
歯周病治療は人間の体と同じで、生活環境を整え、管理することが非常に大切です。
ですから歯周ポケットのお掃除をしたからもう大丈夫、というわけではないのです!
ご自宅での毎日のブラッシングと歯科医院での定期的なお掃除の2本柱により進行を予防することができるのです。
- 歯ブラシを当てると血が出る歯があるのですが、血が出る歯はあまりさわらないほうがいいのですか?
- 出血するということは、歯ぐきに炎症があるからです。その炎症の原因は歯についた
汚れ(磨き残しや歯石など)であることがほとんどなので、それらを取り除かなければ炎症は治まりません。多少出血があるからといって歯磨きをしないのではなく、やさしく歯ブラシを当ててきちんと汚れを落としましょう。また歯石は歯ブラシでは落ちないので、歯科医院での専門的なお掃除が必要になります。 - デンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシを使っていると歯に隙間ができると聞きましたが、本当ですか?
- 歯間ブラシなどで歯間部を適切にお掃除し、炎症により腫れていた歯ぐきが引き締まると、歯ぐきが下がるため、見た目に隙間が大きくなったと感じることがあります。しかし、これは歯ぐきが健康になり、歯周病が改善したという証拠ですので、心配はありません。逆にお掃除をしないと、どんどん歯周病は進行してしまい、歯を支える骨がなくなってしまいます。
最後に、フロスや歯間ブラシは正しい使い方をしないと、逆に歯ぐきを傷つけてしまいまいます。使い方のわからない方は、当院の衛生士が正しい使い方を指導します。 - 歯石取り(スケーリング)が痛いのですが、痛くないよう法がありますか?
- 歯肉が炎症を起こしていると痛みに敏感になりやすいです。超音波スケーラーの強さを調節したり、手用スケーラーを用いて刺激を少なくしたりする方法があります。痛みが強い方には、麻酔を用いることもできますので、ご安心ください。
- スケーリングは歯が削れないですか?
- 歯の表面に目に見えない程度の傷がつくことはありますが、治療の最後に歯の表面をきれいに磨き傷を取りますので、心配ありません。
- 治療期間や回数はどのくらいかかるのですか?
- 歯周病の進行度や本数にもよりますが、全部の歯を治療するとなると、1ヶ月半程度、回数は治療の最後に行う歯周検査を含め、7回ほど通院することになります。
- 以前、歯医者で虫歯ができにくい体質と言われ、以来どこの歯も痛くならないので5年くらい検診していないのですが、検診はどのくらいの期間で行けばいいでしょうか?
- お口の中が健康な方は1年に一度。歯周病が進行している方は3カ月に一度は来院されることをお勧めしています。虫歯のできにくい方は、なかなか歯科医院に来院されない場合が多いので、歯石がたまった状態が永い間続き、歯周病になる確率が高いです。